『やる気』が出ないときには。

やらなければいけない仕事は山ほどある。
なのに、なかなかやる気が出てこなくて、一向に仕事がはかどらない。そんなことって誰でもありますよね?

これって脳の問題だと思うんですが、どうにかならないのでしょうか? 脳神経外科医の築山節先生に聞いてみました。

「脳は基本的に怠け者で、隙あらば休もうとします。といっても、脳全体が休んでしまうのではなく、体の機能と直結した運動系、好き嫌いを司る感情系と呼ばれる部分は動いています。怠け者なのは、やる気や意欲と深いかかわりを持つ思考系と呼ばれる部分で、この部分を活発にするには何らかの変化を脳に与える必要があります」

ダラダラとテレビを見る、ネットで仕事とは関連のないサイトばかり見るといった行為は、思考系の脳にとってまるで変化のない状態。「こんなに変化がないなら出番はない。休んじゃおう」となってしまうのだそうです。しかし、ダラダラをやめない限りやる気は出ないといわれても、やる気が出なければダラダラをやめることはできないし。

「そういうときは、少しずつ脳のスイッチをオンにしていけばいいのです。テレビを見ることがやめられなくなってしまったなら、まず目線をテレビから外して、違う景色をしばらく見ます。それだけでも脳にとっては変化です。さらにキッチンに行ってお茶を入れ、手と足を動かすようにするなど、少しずつ大きな変化に脳を対応させていくのです。そのころには思考系が優位になり『テレビを消そう』という理性が働いて、実際にテレビを消せるはずです」

運動系を働かすことで思考系が活発になるのは、脳の構造によるもの。手足や口などを動かす運動系の機能は脳の中でも表面中央部に分布していて、その部分を活性化すると、脳全体の血流を良くしてくれるといいます。意識的に手足を動かしてやることで、やる気を司る大脳も活発になるのです。

築山先生が特に大切だと話していたのが、歩くこと。足を動かすための機能は、脳の中でも頭頂部に近い領域が担っているので、歩くと血流が脳の高いところまで汲み上げられることになります。それによって脳全体の血流が良くなり、思考系が活発になるのだそうです。

また、好きなことならばできて、嫌いなことだとなかなかやる気が起きないというのも、脳の構造の問題なのだとか。感情系を司る大脳辺縁系は他の領域より強く、「やらなきゃ」と自分を律する思考系より、「快/不快」「好き/嫌い」という感情系が強く働いてしまうため、嫌いなことだとなかなか行動できなくなってしまいます。

それでも理性によって感情を抑制できるのが人間。「ちょっとイヤかも」くらいのことを積極的にやるということを繰り返し、「我慢はそんなにイヤなことではないよ」と脳に言い聞かせれば、徐々にイヤなことでもクリアできるようになるそうです。

「視線を動かす」「歩く」「ちょっとイヤなことを我慢する」くらいなら、誰でもすぐにできそう。やる気が出なくてお困りの人は、すぐに実践してみましょう!